「宮本常一離島論集」8月全巻完結予定。

mizunowa2013-06-07

facebook自社ペイジ、より。


離島論集の書評は殆ど出たためしがないのだが、数少ない書評記事のなかで、あーこりゃあしっかり読み込んではるなーと思えるやうな文章に出会ったことがない。一点を除けば。
一点突破の方法で書かれた碓井巧氏(元中国新聞論説主幹)の第1巻書評(中国新聞2009.11.8)が唯一、書評らしい書評だったと私は思ふ。碓井さんは1932年生。新聞記者でも、やはり、この年代の人は違ふ。文学者と記者が不可分だった時代の名残をとどめた年代というのか。
さておき、この「離島論集」について、読み手を黙らせるような書評を読ませてほしいと、作り手は切に願ふ。



サイト社告・DM文面の草稿。以下。

宮本常一離島論集」2013年8月全巻完結につきまして
長らく懸案となっておりました宮本常一離島論集全5巻+別巻につきまして、今年8月を以て全巻完結すべく、編集作業を進めております。編者(森本孝氏)より宮本常一先生が季刊「しま」に執筆された原稿の一覧とコピーをお預かりしたのが2002年夏。第1巻の刊行にこぎつけたのが7年後の2009年10月でした。全巻完結まで足掛け12年に及びました。全国離島振興協議会(以下、全離島)で刊行計画が立ちあがったという「前史」も含めますと、さらに長い時間がかかっています。
当初、全離島刊「離島振興実態調査報告書 一」(昭和35年2月)を別巻1、全離島刊「中小離島における振興事業の意義と効果―石川、山口、長崎中小離島調査報告」(離島振興調査資料9 昭和36年12月)を別巻2として刊行すべく準備を進めていました。これは「先々著作集に入れる予定ではあるが、全離島関係の刊行物でもあり宮本先生の問題意識も現れているので、離島論集への収録を検討してほしい」と田村善次郎先生(武蔵野美術大学名誉教授)よりご提案をいただいたものです。確かに重要な資料ではあるのですが、本が読まれない時世にあって離島論集既刊(1・5・2巻の順で刊行)の実売部数は刊行を重ねる毎に激減しており、ましてや資料篇としての別巻ではさらなる部数減が予想され、全巻完結を困難にしてしまう危険性が高いと思われました。また、「しま」に掲載された宮本先生の論考は、体系性をもった「論集」として単行本に編む必要がありますが、上記2件の報告書は刊行当時、離島をもつ市町村の担当部署や図書館等に架蔵されており、一連の作業を通じての高木泰伸学芸員周防大島文化交流センター)との話し合いのなかで、現状に鑑みて別巻1と2は無理をして刊行しなくてもよいのではないか、という結論に至った次第です。
上記に加えて、1〜5巻に収録できない座談会、全国離島青年会議等での発言、講演要旨について別巻3として刊行する予定でした。これにつきましては宮本先生の講演CD付き「別巻」として5月末に刊行いたしました。
離島論集1〜5巻の確固たる編集方針として、(1)全離島をベースにした宮本の「離島振興論」「島嶼国家論」として体系性を持たせる、そのために断じて「つまみ食い」をしてはならない、(2)原則として、本人が朱入れして「しま」に掲載した「記名記事」を収録する、の2点がありました。そのため、本人が朱入れしていないと思われる座談会や発言録、講演要旨などは除外して1〜5巻のコンテンツを確定したわけですが、そういうルールを適用することによって漏れてしまうものを拾い集めてみると、これは確かに、粗くはありますが、宮本の問題意識が先鋭的にあらわれたものであり、青年会議での講演要旨など見ましても、当時の離島青年に向けた宮本の強烈な激文であり、これは通常巻とは別個で編まねばならぬと考えた次第です。時あたかも離島振興法施行60周年にあたり、そこのところをきちんと位置づけることで、3・4巻に先駆けて、この別巻を優先的に刊行したいという考えに至りました。
まともに作った本が売れない現状にあって、心苦しい限りですが、定価は高めに設定せざるを得ません。既刊(1・2・5巻)は本体2800〜3800円+税でしたが、5月末刊の別巻はCD2枚付とはいえ本体6500円+税、残る3巻(7月末刊予定)と4巻(8月末刊予定)は本体5000円+税に設定させていただきます。地方における人文・社会科学書の出版は日に日に困難の度を増しております。ひとえに皆様のご理解とご協力をお願いいたします。



離島振興は進んでいるか/離島青年会議に寄せて
宮本常一離島論集 別巻

宮本常一 著
森本孝 編
全国離島振興協議会・公益財団法人日本離島センター周防大島文化交流センター 監修

2013年5月刊(全6巻のうち第4回配本)
A5判上製215頁+宮本常一講演CD(2枚組)
定価 本体6500円+税
ISBN978-4-86426-021-3 C0395
装幀 林哲夫


宮本常一と離島の青年たちの物語 森本孝(元日本観光文化研究所所員)

1 離島振興は進んでいるか?
座談会 振興法をめぐって
座談会 離島と水
離島振興は進んでいるか?

2 離島青年会議に寄せて
青年会議に寄せて――よき明日への期待
第一回全国離島青年会議 議事録
青年部のあり方
二つの地方青年会議
青年推進員の役割と使命について
離島における産業問題
離島振興と青年推進員の使命
離島の基本問題と青年活動の役割

宮本常一「大島をどう守るか」(付録CD)について 高木泰伸(周防大島文化交流センター学芸員
離島自治運動の先駆者としての宮本常一 大矢内生気(離島政策文化フォーラム事務局長)

季刊『しま』宮本常一執筆等目録

■付録CD(2枚組)
宮本常一講演「大島をどう守るか」(1972年8月4日、於山口県大島町公民館、周防大島文化交流センター所蔵)48分27秒+43分20秒


★のこりの巻。


■7月末出来予定

利尻島見聞/離島振興の諸問題
宮本常一離島論集第3巻

宮本常一 著
森本孝 編
全国離島振興協議会・公益財団法人日本離島センター周防大島文化交流センター 監修

2013年7月下旬刊行予定(全6巻のうち第5回配本)
A5判上製224頁前後
定価 本体5000円+税
ISBN978-4-86426-022-0 C0395
装幀 林哲夫


何のお役にもたたなかった九年
これからの一〇年

1 島めぐり
佐渡所感
姫島
東京都島嶼青年教育研究発表大会に出席して
伊豆大島
利尻島見聞
礼文島

2 離島振興の諸問題
離島振興の諸問題(一)
 本土と島との関係/古い生産様式の挫折/架橋の意味/空港が島をかえる
離島振興の諸問題(二)
 島民の自覚/学者との交流/島出身の先輩との交流
離島振興の諸問題(三)
 第二二回東京都島嶼青年大会/民宿の役割/三宅島に托する夢/情報社会への参加
離島振興の諸問題(四)――沖縄を見る(一)
離島振興の諸問題(五)――沖縄を見る(二)
離島振興の諸問題(六)――瀬戸内海の島をめぐって
 視察した島/離島を衰微させるもの――教育投資/離島を衰微させるもの――水産資源を奪う/特定連携による観光と観光のあり方/島の飲料用水の解決/重要交通網に繰り入れる/通勤区域への繰入れ/島の問題ととりくむ若い知識を生かせ

解説1 平野秀樹東京財団上席研究員)
解説2 大矢内生気(離島政策文化フォーラム事務局長)



■8月末出来予定

馬毛島・青ガ島のその後/離島と観光の問題
宮本常一離島論集第4巻

宮本常一 著
森本孝 編
全国離島振興協議会・公益財団法人日本離島センター周防大島文化交流センター 監修

2013年8月下旬刊行予定(全6巻のうち第6回配本)
A5判上製208頁前後
定価 本体5000円+税
ISBN978-4-86426-023-7 C0395
装幀 林哲夫


渋沢敬三先生を偲ぶ
山下元一郎さんの思い出
綱島正興さんの追憶

1 島めぐり
焼尻・天売島
隠岐一巡
気仙大島
周防沖家室島
馬毛島
青ガ島
馬毛島・青ガ島のその後

2 離島と観光の問題
離島と観光の問題
これからの離島振興問題
離島の若者たちと産業会議
離島振興の先達 渋沢敬三先生

解説1 菅田正昭(民俗宗教史家)
監修2 大矢内生気(離島政策文化フォーラム事務局長)