スダイダイ

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色づきスダイダイ

 

 

みずのわ出版よりお知らせ。

はてなブログ、こちらに引っ越しました。

以下、テスト投稿です。スダイダイに関して。

 

■蘊蓄
酢橙は瀬戸内の島嶼部で広く栽培されてきた品種で、周防大島では「酢みかん」の定番であり、次世代に伝えたいすぐれた食文化の一つです。「果樹園芸大百科15 常緑特産果樹」(農文協、2000年)には、次のように記されています。

ダイダイ類の酸味は品種によっても異なるがだいたい5%あり、古くから食酢に利用されている。独特の香りと酸味は他の酢みかん類と同様さしみや鍋物によく利用されるが、ふぐ料理には欠かせないものである。果実が落果しないで長く樹上にとどまり、新旧の果実が重複して成り、代を重ねる。つまり代々として、ユズリハと同様に正月の縁起物とされる。また、黄橙色~赤橙色の果皮は黄金色に通じるとして、ミカン類は正月の縁起物となる。

とはいえ、「新旧の果実が重複して成」るまで樹上に成らせておくと、スあがり(果肉がスカスカになり果汁が無くなる)を起こします。食用としては実の青い11月頃から穫入れを始めます。この時期の酢橙は香りも清冽で、いちばん美味しいといわれます。12月に入ると文字通り橙色に色づいてきます。正月のお飾りに葉付きで使用するには、色づき具合が重要視されます。家庭用では大体2月末頃まで樹に生らせておいて要る分だけ穫入れて使います。色づいたものは香りが少し落着いた感じになりますが、これもまた美味いものです。

■食し方・活用法
・醤油と酢橙の果汁5:5もしくは4:6くらいの比率で合わせて、即席ポン酢に。大根おろし+青葱+橙ポン酢のとりあわせは、大島では冬場の鍋(水炊き、湯豆腐など)の定番です。もずく、かつお・牛肉・鶏肉たたき、鶏・魚の酒蒸し、エノキホイル焼き、等々にも合います。
・レモンと同様に、そのまま搾って焼鳥、焼肉、焼魚、酢牡蠣、切り海鼠に。
・カボス、スダチ、レモン等と同様に、甲類焼酎や麦焼酎の味と香り付けにも。
・なますを作るときに米酢のかわりに橙酢を使えば、香りよくあたりのやわらかいものに仕上がります。
・風邪をひいた時。寝る前に酢橙2分の1ヶを搾ってマグカップ1杯のお湯に溶いて飲むと身体が温まります。砂糖を入れる人もいますが、私個人は砂糖無しが好みです。「橙湯」という、周防大島に伝わる民間療法です。
・神戸の三宮でバーを経営している愚弟によると、カクテルにもええ感じで使えるそうです。
マーマレードにも使えます。農薬散布回数が少ないので、皮も安心して使えます(農薬残留の関係で7月以降は農薬散布をしません。1月カイガラムシ・ハダニ・サビダニ防除、3月かいよう病防除、5月黒点病・灰色カビ病・訪花昆虫防除、6月黒点病・カイガラムシ・ハダニ・サビダニ防除を行いました)。
マーマレードに使用する場合は、青い玉より色づいた玉のほうが良いという人もいます。
・搾り終えた皮は風呂に浮かべて「柚子湯」ならぬ「橙湯」に。もちろん新品を浮かべるのもアリです。
・薄切りした皮を天日で干せば、天然入浴剤として長期保存可能です。
・皮の油を手に塗るとアカギレ、シモヤケが治ります。冬のお肌にやさしく、アロマ効果も。

■自家製ポン酢の作り方
・以下、小社レシピ。酢橙の果汁400ml(約20ヶ分)+本醸造醤油400ml(我が家では、島根県奥出雲町・井上醤油店の古式醤油を使用)+日本酒100ml(三倍増醸酒や料理酒は後味がくどくなるのでオススメできません。我が家では岩国の地酒「五橋」を使用)+昆布→ひと煮え立ち→冷まして瓶(密栓できるもの)に詰めて冷蔵庫へ。作りたては美味しくないので、2週間から1ヶ月程度寝かしてから使用します。1 年以上保存可能で、熟成がきくとさらに美味しくなります。醤油差しに移し替えたり常温に置くと香りが飛ぶので、使う分だけ出してすぐ冷蔵庫に仕舞うようにして下さい。鍋の季節はもとより、端境期の初夏から夏場にかけても重宝します。昨年は、ダイダイポン酢にごま油を合わせた冷やし中華のタレを思いつきました。大好評でした。