佐野繁次郎装幀集成増補版のウンチク。

画像=増補版(左)と旧版(右)のジャケットを並べてコンデジで撮ったのが、これ。スーパーブラックの刷りの深み、特色(赤)の冴えなど段違いなんだが、この画像では違いがわからない。フィルムで撮れば、この違いがまともに出る。

佐野繁次郎装幀集成 増補版―西村コレクションを中心として』
山田写真製版所サイトの事例集に掲載。
https://www.yppnet.co.jp/category/casestudies/

ウンチクの補足。
ジャケット(リ・シマメ)の表4と袖に特色(DIC196)をベタで敷く。凹凸のある用紙の性質上、特色1版ではベタ印刷にムラが出る危険あり。特色2版、インキの盛り加減で濃度調整をかけてもらう。また、ジャケットと表紙の絵と文字の表現を考慮して、黒は通常のブラックではなく、スーパーブラックを選択。また、カバーの取り都合で余ったスペースに16頁の小冊子「裸のデッサン」(左右159×天地150mm)を、付け合わせで刷った。デザイン都合で逆目になり、本来縦に流れる用紙の縞模様が横に流れているのもひとつの個性。
リ・シマメの菊判が昨年末で廃盤となったため、四六判Y目から菊判Y目に断裁使用した。小冊子の左右の長さの和(636mm)が菊判の短辺の長さ一杯で、断ちしろ、折りしろがないため、カバー用紙をひと回り大きい、いわゆる「菊判ノビ」に切り出すことで問題を解消した。

表紙の図版は佐野のデッサンで、装幀原稿としての紙貼り跡が分かるように画像調整をかけてもらった。