佐野繁次郎装幀集成増補版、6月初旬出来予定。

佐野繁次郎装幀集成増補版、6月初旬出来予定。印刷立会時の画像、手前本文、奥表紙。富山の山田写真製版所、黒田典孝PDの手腕で、旧版を遥かに凌駕する印刷上がりとなった。
まともな本を少部数作れば、どうしても価格が高くなる。2万、3万部と大量につくって大量に売れる本であればそこそこ安価に設定できるのだろうけど、残念ながらそれほどの需要はない。だが、必要とする人にとっては手許に無ければならぬ一冊である。版元稼業を継続可能とする「売れる本」は必要なのかもしれないが、「売れる本」を求めてばかりいたのでは日の目を見ることなく取りこぼしてしまう本が、間違いなく存在する。

https://mizunowa.com/pub/845/

痕跡。

イヌネコの死骸回収は平日は役場担当部署の業務なのだが、閉庁日に通報があった場合、ワシが回収業務にあたることになっている。
一昨日夕方、安下庄漁港近くで回収したチャトラ。交通事故の犠牲者。ハエがたかり、アリがたかり、腐臭もキツイ。持ち上げたら薄っぺらかった。お顔もへしゃげていた。段ボール函に入れて、ごみ回収車に入れる。函の余白に南無阿弥陀仏と記した。悲惨な亡骸を撮るのは冒涜だと思うが、こいつの最期の痕跡だけでも撮っておいた。

うちの社名は難しい、のか?

楽天ブックスネットワーク株式会社からの営業メエルが度々入る。業務を拡大し過ぎて過剰配本・過剰返品になればうちみたいな零細はツブれてしまうといって、ワシはこの手のお誘いには一切乗らんことにしている。
画像は、去年の五月に同社から届いた封書。電話がかかってきて取引をしたいと言うので上記の事情を伝えて断ったのだが、それでもよければ資料だけでも送っといてと、社名と送り先を伝えたら、「みずのもわ出版」と書かれてしまった。それでもきちんと届くってなもんだ。ポピュリストの扇動による民営化以降劣化が進んだとはいえ、それでも日本の郵便事業は優秀だと思う。
その時の電話の話。取次の楽天云々と相手が言うので、「わかってまっせ、元の大阪屋さんですわな」と言うたら、それが何のことやら理解できへんときたもんだ。出版業界の常識なんだが、今日日の取次の若いスタッフはそんなことも知らんと営業の電話かけてきとるんやな……。
自虐で言うつもりはないが、書店等で領収証お願いして、うちの社名を言うて一発でわかったということなどほぼ皆無である。
老婆心からか見下しからか知らんけど、もっとメジャーになりなさいよとワシに言うた者もいる。そういうヤツほどドタマが悪い。
話は十数年前に遡る。広島で故・福島清画伯と呑んだ時のこと。
みずのわ宛で領収証もらっておこうと画伯が気を利かせてくれて、ワシが宿に帰ったあと、画伯一人でお店に戻った。「みずのわ出版」の綴りを画伯が言おうとしたら、わかりまっせと呑み屋の若女将が言うた。何でや? と問えば、この女将、うちの本何冊か買うて持ってはると。社会問題、なかんずく差別にかかわる問題を識るにはこの版元の本は必読なのだと答えたのだと。
そんなことも、たまにはある。

「調査されるという迷惑 増補版」出来。

「調査されるという迷惑 増補版」出来。版元直送は送料無料です。小社サイト(https://mizunowa.com/)からのご注文でカード決済可能になるまで、今暫くお待ち下さい(今週中にサイト更新する予定です。試し読み頁も設定します)


調査されるという迷惑 増補版
定価1,650円(本体1,500円+税)
著 宮本常一・安渓遊地
A5判並製150頁 ISBN978-4-86426-052-7 C0039
装幀 林哲夫
印刷・製本 (株)国際印刷出版研究所
2024年4月刊

ハンディなフィールド・ワークの⼿引として2008 年の初版以来7刷を重ねた本書は、⽂化⼈類学や⺠俗学の初学者向け副読本としてだけでなく、理系のフィールド・ワーカーにも、地域づくりや援助、医療・看護・福祉のケアの現場でも広く読まれてきた。今や誰もがする運転にフィールド・ワークを例えるなら、この本は免許更新時に⾒せられる交通事故のビデオだ。今回の増補で、宮本常⼀の初めてのアフリカでの⼼あたたまるエピソードと、1978年からコンゴ⺠主共和国に通って〝⽇系アフリカ⼈〟となった安渓遊地・安渓貴⼦のアフリカ経験を加え、異⽂化体験の多彩さを踏まえて、万⼀の事故にも絶対にひき逃げしない覚悟はあるかを問う。

目次
序章  宮本常一先生にいただいた言葉(安渓)
第一章 調査地被害――される側のさまざまな迷惑(宮本)
第二章 される側の声――聞き書き・調査地被害(安渓)
第三章 「バカセなら毎年何十人もくるぞ」(安渓)
第四章 フィールドでの「濃いかかわり」とその落とし穴(安渓)
第五章 種子島にて・屋久島からの手紙(安渓)
第六章 まぼろしの物々交換を知夫里島に求めて(安渓)
第七章 「研究成果の還元」はどこまで可能か(安渓)
第八章 宮本常一・はじめてのアフリカ(宮本)
第九章 「いまここで」という暴虐からの解放(安渓)
第一〇章 「父たち」の待つ村への旅(安渓)
フィールドでの指針としての事項索引(安渓)

著者
宮本常一(みやもと・つねいち)
1907年山口県周防大島生れ。16歳の時に大阪に出て逓信講習所で学び、天王寺師範学校を卒業後、小学校教師となるも病を得て帰郷。療養中に柳田國男の『旅と伝説』を手にしたことがきっかけで、柳田、渋沢敬三という生涯の師と出会う。39年に渋沢の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、57歳で武蔵野美術大学に奉職するまで在野の民俗学者として日本全国を歩く。66年日本観光文化研究所を設立し、後進の育成に努めた。著書に『忘れられた日本人』『宮本常一著作集』(未來社)、『日本文化の形成』(そしえて)、『宮本常一離島論集』『宮本常一写真図録』『宮本常一の風景をあるく』『宮本常一ふるさと選書』(みずのわ出版)など。1981年没。宮本が遺した膨大なフィールド・ノートや写真等の資料は、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)に収蔵されている。

安渓遊地(あんけい・ゆうじ)
1951年富山県射水郡大門町生れ。京都大学理学部学生の時、川喜田二郎氏の移動大学運動にふれてフィールド・ワークを志す。伊谷純一郎氏の指導で、西表島および熱帯アフリカの人と自然の研究。人類学専攻。沖縄大学山口大学山口県立大学を経て、山口市北部の「阿東つばめ農園」で営農ソーラーのある無農薬家族農業を実践中。共編著書に、『廃村続出の時代を生きる│南の島じまからの視点』(南方新社、2017年)、『奄美沖縄環境史資料集成』(南方新社、2011年)、『奇跡の海――瀬戸内海・上関の生物多様性』(南方新社、2010年)、『西表島の農耕文化――海上の道の発見』(法政大学出版局、2007年)、『続やまぐちは日本一――女たちの挑戦』(弦書房、2006年)、『遠い空――國分直一 人と学問』(海鳥社、2006年)など。ブログ https://ankei.jp では、研究成果の地域との共有の試みとして、ソンゴーラ人、西表島与那国島の3つの生物文化遺産データベースを公開中。

[用紙/刷色]
表紙 里紙 古染 四六判Y目170kg K+DIC160/2°
本文 淡クリーム琥珀 A判T目46.5kg
帯  里紙 古染 四六判Y目70kg K/1°



医療への信頼 Trust in Medical Care(河田真智子写文集)

みずのわ出版からのお知らせ

昨年11月刊「医療への信頼 Trust in Medical Care」(河田真智子写文集)。小社サイトと案内ハガキに、次のように記しました。
……3年前、河田の心電図に突然死の波が出た。ICD(植込み型除細動器)を胸に植め込んだ母親の予後は長くはない。重度障害をもつ娘の夏帆を遺して死んでいくのかもしれない。河田は夏帆出生の瞬間から36年間絶えることなく、夏帆と医療を写真に記録し続けてきた。写真画像に定着された医療従事者たちの素顔から、かれらのプロとしての喜びや葛藤、苦悩とともに、患者、家族が寄せる医療への信頼の強さもまた伝わってくる。この写文集を、これから医療を志す若い人たちにすすめたい。また、患者、家族の立場にある人たちを励ます一冊になるであろうと確信する。

ジャケット写真はタラワ環礁。彼岸と此岸のあわい。ジャケットをめくると表1(おもて表紙)には、水平線の位置に英文タイトル一行のみ、“Trust in Medical Care” と刷られています。
「医療への信頼」という言葉を定着させたいと著者は言います。後述しますが、いま、医療現場で写真撮影はできません。個人情報云々といって匿名、顔出しNGが当り前になったいまの時代に、医療従事者や患者家族の顔を写した本を編むことはほぼ不可能になってしまいました。しかし、被写体となった人たちの顔出しと実名記載なくして、写真の本、ノンフィクションの本は成立しません。生身の人間の姿が写り込まない本など、何の説得力も持ちません。本書への写真掲載に際して、被写体となった関係者全員の許諾をいただきました。そして「本書掲載写真の無断転載を固くお断りします」と目次に明記しました。スマホで簡単に接写でき、ネットでいくらでも拡散される、フェイクなどお手のもの、そのような社会状況にあって、著者および関係者の意思に反して写真が悪用されないための著者・版元・読者の間での約束事として定めました。ご理解願います。
この写真群は20世紀末から21世紀初頭にかけての日本の医療状況を患者・家族側の視点で記録した社会資産として将来的に普遍的価値をもつであろう、人類普遍のこの問題に国境はない、ならばタイトルの英文表記は不可欠と考えました。本書編集に際し、京都大学医学部の松田文彦先生にお智慧をいただきました。ゲラを一読、松田先生が言われました。「この先生(夏帆の元主治医、故・粟屋豊先生)いい顔してはる。医者の鑑や」(粟屋先生の写真掲載頁の一部は、サイト上で試し読み可能です。サイト掲載についてご遺族の了解をいただいております)
本書に写真掲載された医療従事者たちの風貌、気概をみてほしい。ぜひ手にとっていただきたい。ぱっと見で値段の高い本と受け取られるかもしれませんが、この内容で、この値段は安すぎると思います。

小社サイト https://mizunowa.com/pub/728/ より、カード決済で購入できます。また、サイト上で一部頁の試し読みも出来るようになっています。

「医療への信頼 Trust in Medical Care」
税込4,400円(本体4,000円)
B5変形判(本文:天地240mm×左右182mm)扉共紙208頁
糸篝丸背上製本セミハードカバー)
装幀 林哲夫
発行 みずのわ出版
プリンティングディレクション 黒田典孝(㈱山田写真製版所)
印刷 ㈱山田写真製版所
製本 ㈱渋谷文泉閣
詳細 https://mizunowa.com/pub/728/

[目次]
プロローグ
1 夏帆と医療
(コラム)夏帆と医療
2 母の病気
3 母と娘の島旅
 第3章のためのプロローグ
(コラム)生きるという旅……島旅のはじまり/二十五歳、結婚/ダイビング修行/夏帆、生まれる/専門医・粟屋豊先生との出会い/夏帆の島旅/マザー・アンド・マザー発足/二人目の子/母親の仕事/リハビリ入院、大阪へ/夏帆十六歳の写真展/移行期の課題/事故/医療事故/東日本大震災/コロナ禍/島嶼医療
4 母と娘の行動記録 1953-2023(年譜)
あとがき
この本の宿題

[著者]
河田真智子(かわだ・まちこ)
島旅作家・写真家。1953年東京生まれ。本名榊原真智子。成蹊大学文学部卒。マリン企画で雑誌編集を経て1980年独立。1978年より島の愛好会「ぐるーぷ・あいらんだあ」を30年間主宰。1999年より奄美群島振興開発審議会委員、鹿児島県100人委員などを務める。本名榊原真智子として、1991年より障害児を育てながら仕事もしていきたいお母さんのネットワーク「マザー・アンド・マザー」を1999年まで主宰。現在、胃ろう、気管切開した娘を在宅で育てながら島に通う。

[用紙/刷色]
ジャケット:ヴァンヌーボV-FS スノーホワイト 菊判Y目 104kg 4°+半マットニス
表紙:マーメイド ナチュラル 菊判Y目 93.5kg
見返し:マーメイド 白 菊判Y目 106.5kg
本文:b7トラネクスト 四六判T目 79kg(1-160頁=4°/161-208頁=1°)
花布 A8
スピン A5



河田真智子作品集第1集 水たまりを飛び越える 柳原一徳の仕事(カードセット)7枚組(148mm×100mm)
印刷 (株)山田写真製版所
プリンティングディレクション 黒田典孝(㈱山田写真製版所)

[用紙/刷色]
ミルトGAスピリット 菊判Y目 153kg 4°

撮られた本人が宣伝するのもアレですが、「医療への信頼」を編むなかで、こんなのが生まれました。カード決済可能ですので、本と一緒にご注文いただけたら幸いです。
詳細 https://mizunowa.com/pub/683/



医療への信頼写真保存基金 設立のお知らせ
河田真智子撮影による夏帆および医療従事者他の写真群(ネガ・ポジフィルム、デジタル画像データ、紙焼き)は、河田歿後、みずのわ出版著作権譲渡されます。この写真群は、病院内での撮影禁止が当り前になった今、二度と撮影できないものであり、20世紀末から21世紀初頭にかけての日本の医療状況を患者・家族側の視点で記録した社会資産として普遍的価値を持つようになると考えます。
写真はアナログ、デジタル問わず保存性において脆弱なメディアです。当面は写真資料の散逸と劣化、そして著者、関係者の意志に反する無断使用を防ぐこと、長期的には貴重な資料として次代に引き渡すことのできるよう、写真資料の適切な保存管理を行い、あわせて医療への敬意と感謝を伝え続けるための出版継続に資することを目的に、「医療への信頼写真保存基金」を立ち上げました。
御協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。(2023年9月)
詳細 https://mizunowa.com/donation/700/



みずのわ出版」の紹介頁を追加しました。農園と写真館の紹介頁は元々あったのに、なにゆえに本業たる出版社の紹介頁がないのか? と某著者のツッコミが入りました。気が回らなかったと言えばそれまでですが。
https://mizunowa.com/aboutus/

 

菅田正昭離島論集〈共同体論〉

新刊出来。

菅田正昭離島論集〈共同体論〉

著 菅田正昭
2024年1月刊
四六判糸篝上製 213頁
ISBN 978-4-86426-049-7 C3339
装幀 林哲夫
発行 みずのわ出版
プリンティングディレクション 黒田典孝(㈱山田写真製版所)
印刷 ㈱山田写真製版所
製本 ㈱渋谷文泉閣

価格5,500円(税込)

離島論の第一人者による、シマ/クニという視座からの広義の共同体論。およそ半世紀にわたって季刊「しま」(公益財団法人日本離島センター広報誌)に寄稿してきた論考から、20本を厳選。

[著者]
菅田正昭(すがた・まさあき)
昭和20年(1945)東京生まれ。学習院大学法学部卒業。同46年(1971)から48年末まで東京都青ヶ島村役場職員、平成2年(1990)から5年にかけて同村助役を務める。主著に『アマとオウ―弧状列島をつらぬく日本的霊性』(たちばな出版)、『日本の神社がわかる本』(日文新書)、『出口王仁三郎の大予言』(学研パブリッシング)、『青ヶ島の神々』(創土社)、『現代語訳 古語拾遺』(KADOKAWA)ほか多数。藝能学会会員。

[目次]
まえがき《シマ》と出会うまで

1〈オウ・オク・オキ〉の島々とその霊性
鬼が島と鬼界島の間で…… 沖縄県島嶼町村制の根拠の深淵を抉る
日本人の精神性から見る「領有」意識の二つの形態 「知ろしめす」と「うしはく」の違いの視点から
「シマ」と「アマ」、「クニ」と「ウミ」 日本的霊性地政学
アマ・ヤマ・シマ・イマにおける〈マ〉と〈ナカマ〉との交通 離島の時間・空間を考える
シマの「間」の構造とその復権 国引神話の島引
〈奥〉つシマの〈間〉の〈オクレ〉の構造 「遅れ」から「贈り」の島へ
〈オウ・オク・オキ〉と〈ヲウ・ヲグ・ヲキ〉 霊性の発信者としての島を招き寄せるワザ(業)の啓発
ヲナリの比禮振り、ヲウナの布晒 オウとヲウの視座からの、島霊と国土霊へのタマフリ
オウ〈au=aw〉島から粟島へ 《粟・雑穀》霊の常世への跳躍
粟散辺土の、わづかな小島の草莽の視座から 小さな島々を卑下する言葉からの脱出
再びシマなどの〈間〉について 「アヒダ」と「マ」の視点から離島の絆を考える
占いの島・神の島・祈りの島 異界からの災禍を食い止める〈霊的国境〉の島
目を失って離島の本質を掴んだ明治の気骨の政治家 高木正年小伝
南の島の《開拓者》を夢見た男 西澤吉治小伝

2 夕暮時の水平線
ヨーロッパ諸語における島を意味する語 孤立・侮辱がつきまとう
シマ・スマ・ショムとその周辺の言葉たち 日本語・アイヌ語・韓国語のシマを意味する語
名称不明離島の名称決定と島の字の訓読呼称について 古来からの名称の復権
〈ゲンジュウ〉から〈カンジュウ〉へ 故郷へ還住するということ
色の名が付く島 イロとオトの弁証法
吉田松陰の離島観 日本の地政学の草分け

菅田正昭「季刊しま」寄稿目録
索引(人名・神名・文献・事項・地名等、2000項目超!)

[用紙/刷色]
カバー    竹はだGA 四六判Y目 110kg K+DIC389/2°
表紙    モデラトーンGA ナチュラル 四六判Y目 90kg K/1°
見返    モデラトーンGA ナチュラル 四六判Y目 135kg
本文    ラフクリーム琥珀四六判Y目66.5 kg K/1°
花布    A46
スピン    A13