生きにくい世の中。

2日夕方、地方・小出版流通センターの担当Oさんから電話が入る。新刊「夢・葬送――浪花の唄う巨人・パギやんSong Book」を仕分けたところ、データ管理の担当さんからISBNの表示法についてクレームがついた。バーコードがついていないうえに、ISBNの書体がOCR-B以外の書体を使っているので、すべて手入力になる。取次・書店で嫌がられる、と。

今年刊行分からISBNが従来の10桁から13桁に変更になり、従来はOCR-Bで表示することになっていたのが、どの書体を用いてもよいことになった。ただし、それはバーコードを表示することが大前提である、と……それは知らんかった。
ウチでも以前は規定に則ってジャケット表-4側にバーコードを表示していたのだが、あまりの見てくれの悪さに嫌気が差してしまい、装幀の林画伯と相談したうえでとりやめた経緯がある。OCR-B自体は使いようによっては悪くはないとは思うのだが、どの書体を使ってもよいといわれたものだから、こりゃあええ時代になったワと思っていた。糠喜びだった。

国際基準の大幅な改定ゆえ、一昨年の夏あたりから日本図書コード管理センターが幾度か説明文書を送ってきてはいた(わざわざ説明会にも行ってきましたで)。が、私の読解力が足りんのか、説明文そのものが悪文なのか……その問題はおくとして、いくら読んでも何のことやらさっぱりわからん。そういう輩はどうやら私だけではないらしく、担当Oさんによると、年が明けて以降ISBNの表示間違いなどのトラブルがちょいちょい発生している、という。私などまだ軽いほうだと。

で、現実的な解決策。バーコードなし・OCR-B不使用で出たものはそのまんま流す。今後発刊するものについては、ISBNをOCR-Bで表示する。但し、バーコードみたいなみっともないものは使わない。そうしておけば、OCRの読み取り機はわりと普及しているから、バーコードが表示されていなくともクレームは来ないだらう、と。「やっぱりねー、ウチ(地方小)は手入力多いですけど、取次さん、書店さんに嫌がられたらしんどいですからネ。生きにくい世の中になったということですよ」と……。


生きにくい世の中、といえばこんなこともある。

私の知人がある書店さんに自著を直置きした。しばらく経って行ってみるとかなりの数が捌けている。高い本がこんなに売れたッと思って嬉々として店長に訊ねたら、売れたのではなく殆ど万引きに遭うたのだ、と。
ブックオフが絶対に引き取らない専門書でも、まともな古本屋は引き取ってくれる(そら当たり前ですがな)。定価の高い本などそこそこの値が付く。それを目当てに万引きする輩がいるのだと。特にその店は通りの角地に面していて万引きに遭いやすく、いくら注意しても限度がある。書店にとって万引きは死にかかわる問題だ。正味の高い本など、1冊万引きされただけで10冊分の口銭が飛ぶ。そんなことが頻発したので、高い本はなるべく置かないようにしているのだと。
その書店の営業部長さんとお会いした折、そんな話になった。

その知人の名も書名も、また書店名もここでは伏せる。不特定多数が閲覧するネット上でのこと。実在の書店名を出してしまった日には、わざわざその店を狙って万引き行脚に出ようという不心得な輩が閲覧していないとも限らない。書店さんに迷惑をかけるわけにはいかない。


それと、以下別件。
昨夜のメエルニュウズ「みずのわBCC放送」でETV特集「にっぽんの地方を歩く〜民俗学者宮本常一のまなざし」(2月3日午後10時〜11時30分 NHK教育テレビ)の案内を流した。内職をしながら視た(聴いた、といったほうが正確か?)ので、感想はもう一度ビデオを視てから書こうと思うが、散漫というか、いまひとつ喰い足りなかった。それと冒頭の周防大島文化交流センターでの写真説明をめぐるシーンの取扱いには、大いに疑問がある。それもまた後日。