うちの社名は難しい、のか?

楽天ブックスネットワーク株式会社からの営業メエルが度々入る。業務を拡大し過ぎて過剰配本・過剰返品になればうちみたいな零細はツブれてしまうといって、ワシはこの手のお誘いには一切乗らんことにしている。
画像は、去年の五月に同社から届いた封書。電話がかかってきて取引をしたいと言うので上記の事情を伝えて断ったのだが、それでもよければ資料だけでも送っといてと、社名と送り先を伝えたら、「みずのもわ出版」と書かれてしまった。それでもきちんと届くってなもんだ。ポピュリストの扇動による民営化以降劣化が進んだとはいえ、それでも日本の郵便事業は優秀だと思う。
その時の電話の話。取次の楽天云々と相手が言うので、「わかってまっせ、元の大阪屋さんですわな」と言うたら、それが何のことやら理解できへんときたもんだ。出版業界の常識なんだが、今日日の取次の若いスタッフはそんなことも知らんと営業の電話かけてきとるんやな……。
自虐で言うつもりはないが、書店等で領収証お願いして、うちの社名を言うて一発でわかったということなどほぼ皆無である。
老婆心からか見下しからか知らんけど、もっとメジャーになりなさいよとワシに言うた者もいる。そういうヤツほどドタマが悪い。
話は十数年前に遡る。広島で故・福島清画伯と呑んだ時のこと。
みずのわ宛で領収証もらっておこうと画伯が気を利かせてくれて、ワシが宿に帰ったあと、画伯一人でお店に戻った。「みずのわ出版」の綴りを画伯が言おうとしたら、わかりまっせと呑み屋の若女将が言うた。何でや? と問えば、この女将、うちの本何冊か買うて持ってはると。社会問題、なかんずく差別にかかわる問題を識るにはこの版元の本は必読なのだと答えたのだと。
そんなことも、たまにはある。