苦悩と混沌。

mizunowa2007-03-20

林哲夫素描集「読む人 WHAT ARE YOU READING ?」の売れ具合が芳しくない。けふ、20ン冊了解返品の電話連絡が入った。これだけではない。地方小初回委託分の返品率は現時点で70%という見るも無惨な成績、である。「文字力100」よりはこっちの方が売れるだろうと著者も私もそう読んだし、親しくしている書店員さんの間でも大方そのやうな予測をしていたのだが……。それとは対称的に、「神戸の古本力」(林哲夫高橋輝次、北村知之編著)は、印刷代を稼ぎ出すのも厳しいだらうと覚悟していたら、地方小扱いだけで初刷の半分近くが売れた。これは、嬉しいほうの読み違い。出版は博打、と云われる所以だ。

けふ電話で話した店長曰く、林画伯の固定ファンがそこそこ買っていったのは間違いないが、スムース文庫版(品切)を持っているということで買わなかった層が思った以上に多い。お店のいわゆる“常連さん”はある程度一巡した。そうではない、こういう本を手にするであろう未知のお客さんをどないしたら掴めるのか……常連さんはありがたいが、新たな読み手も開拓しなければジリ貧になっていく、と。
本って、どないしたら届くんだらうねえ。果てなき堂々巡りだ。まさしく、本の世界にかかわる者一人ひとりが底なしの苦悩と混沌の中にある。