にんにくの草取りと施肥。

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非公開日録から、3月のニンニク作業を抜粋。

●降水量 ◆平均気温 ▲最高気温 ▼最低気温 ■日照時間

 3月6日(土)旧1月23日 曇
 ●0.0mm/◆12.3°C/▲17.5°C/▼8.6°C/■6.6h
 午後一時から三時まで、井堀中段でニンニクの草を引く。一人作業、二列ひと畝(およそ一二〇本)二時間。一本間違えて抜いてしまう。種ニンニクの上に新ニンニクが出来るのだが、この時期はまだ何も出来ていないと、初めて知る。こんなミスでもなければ、この時期に掘って確認してみることはない。なるほど、この時期の草とりと施肥と土寄せ、そして四月のトウ立ちを摘むことが生育のうえで重要なのだと解る。一寸勉強になった。

 3月7日(日)旧1月24日 曇
 ●0.0mm/◆8.1°C/▲9.6°C/▼6.8°C/■1.8h
 悠太のテゴで十時半から正午までニンニクの草取り。さすが、ワシ一人で二時間のところ、二人で一時間半。午後一時間、続きのテゴをしてもらう。

 3月15日(月)旧2月3日 晴
 ●0.0mm/◆9.2°C/▲15.5°C/▼3.8°C/■9.3h
十二時半から一時間、ニンニクの草引き。今年初めてモンシロチョウを見つける。二時一五分まで横井手寿太郎下段で石灰をふる。続いて上段にも。三時過ぎに悠太を迎えに走る。大急ぎで着換えさせ、手が四本に増える。五時までかかって上段寿太郎の石灰をふる。お宮の裏から瀬越の山にかけて渡りガラスが群れ飛んでいる。今年もカラス被害の季節が来た。五時から六時までニンニクの草取りと施肥。丁寧にやっとったら間に合わん、ざくざくでいいからといって加速つける。ひと畝半だけ土寄せするが、暗くなってきた。コンテナ持っていきタマネギを回収する。雨で濡らしてはいけん。悠太が丁寧な詰め方をする。

 3月16日(火)旧2月4日 曇時々小雨
 ●0.0mm/◆13.8°C/▲18.6°C/▼7.7°C/■1.4h
 朝起きぬけ天気ドットJPをスマホでチェックする。降り始めが午後一時に変っとる。朝からカラスが喧しい。昨日の残りで雑炊こさえ、悠太を送り出し、あとはかーちゃりんに任せて七時半頃井堀中段に上がる。Fさんの園地にまかれた柑橘五号の粉がカラスの餌食になっている。うちのニンニク廻りは無事。昨日肥しをふったものの土寄せが間に合わず心配していた。カラスの図体でニンニク踏みつけへし折られたら目も当てられない。カラスに狙われんように土寄せをしてカラス糸を張る。九時半までかかる。一寸だけ家に帰り、みーちゃんのトイレ始末。井堀中段に戻り、十時から十二時半までスダイダイ一〇本に春肥をふる。しっかり土と混ぜる。敷き藁もする。たった一〇本相手に手間を食う。



今年3月上旬と中旬の、安下庄アメダスの観測値。かっこ内の左は昨年の値。右は2010年平年値。

3月上旬
降水量  34.0mm(68.0mm/34.3mm)
平均気温 10.1°C(9.6°C/7.5°C)
最高気温 14.0°C(13.6°C/11.9°C)
最低気温  6.8°C(6.0°C/2.9°C)
日照時間 48.0h(46.3h/53.5h)

3月中旬
降水量  40.0mm(3.5mm/49.7mm)
平均気温 11.3°C(9.8°C/9.0°C)
最高気温 15.4°C(15.4°C/13.4°C)
最低気温  7.3°C(3.2°C/4.7°C)
日照時間 63.5h(76.8h/57.5h)

 

みかジュー。

 

f:id:mizunowa:20210304094706j:plain自家製みかジュー。
寿太郎温州の最終ストック、小玉4.5キロから果汁手絞り2.4リットル。スダイダイ70ミリリットル(みかん果汁の3パーセント程度)を加え、あくを取りながら85度まで加熱。300ミリリットルでみかんゼリーを作り、残りを冷まして4合瓶2本と500ミリペトボ1本。加熱とあく取りで160ミリリットルのロスが出て、歩留り2.24リットル。水と果汁で比重が違うのはおくとして、生食用の半分程度にまで減るということ。
自分で言うのもなんだが、そこらで売ってるものとは比較にならんほどウマい(註/農協のジュースが不味いと言ってるわけではない。あれは本当にウマいんだが、それを上回るということ)。だが、売り物にはできない。自宅の台所で作ったものでは保健所の許可が下りず販売ができない。選外品を農協に原料出荷したら二束三文。ジュース加工業者に持っていけば、やはり工賃と瓶代が高くて、売り物としてはかなりの値段になってしまう(普段使いはキツくとも、贈答用ならいい商品だと思う)。一時、倉庫ついでに加工場を設置して自前でのジュース加工・販売も考えたが、ジュース加工場として保健所の認可を取るためにはパテーションを四つに区切らなあかんとか何とか異常にハードルが高いとわかり断念。それ以前に、みかんの収穫と出荷が終った後でないとこんな手間な作業はできんとくれば、本気で自前ジュース加工に手を出そうとすれば人を雇う必要が生ずる。そうなれば本末転倒だ。生食用で、良いものを作り、高く買ってもらうと、そこに特化するしかないと、そういうことなんだろう。異常気象続きでこれまた難儀なんだが。

新刊「本とみかん…」25日着便予定。

f:id:mizunowa:20201223085711j:plain取次(地方小出版流通センター、JRC)には本日搬入。製本所が遠隔地(長野市)ゆえ、版元には25日(金)に届く予定です。直売ご予約分は年内に届くよう送り出しますので、いましばらくお待ちください。


みずのわ出版/神戸→周防大島移転10周年・創業24周年記念

本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート
柳原一徳 著 A5判並製カバー装 671頁
税込定価 3,300円(本体3,000円+税)
ISBN978-4-86426-046-6 C0036

版元直販→送料無料(振替用紙同梱にて送付。銀行振込・ゆうちょダイレクトご希望の場合、その旨お知らせください)

みずのわ出版
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新刊案内「本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート」

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束見本+プルーフ


みずのわ出版/神戸→周防大島移転10周年・創業24周年記念

2020年12月25日頃出来


本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート
柳原一徳 著 A5判並製カバー装 671頁!
税込定価 3,300円(本体3,000円+税)ISBN978-4-86426-046-6 C0036

★拙著、新刊のご案内
添付文面のとおり、「本とみかんと子育てと 農家兼業編集者の周防大島フィールドノート」(柳原一徳著 A5判並製カバー装 671頁)を刊行します。12月25日頃の出来。ご予約の方には、年内から正月休みにかけてお送りいたします。
「震災五年の神戸を歩く」以来、20年ぶりの単著です。この分量で、税込3,300円です。専門書ではないので、高くては買いにくい。かといって、あまり安くすると原価が出ない。これだけ分厚く重たいと送料もかかる(レターパックライトで520円)。そこそこ回収のできる価格設定で、それでも買いにくいなりに買いやすく、と考えまして、きわきわの設定です。ぜひご購入いただきたく、よろしくお願いいたします。

税込定価3,300円 版元直売 送料無料
振替用紙同梱(銀行、ゆうちょダイレクトご希望の方はその旨メエルに記してください)

5冊以上ご購入の場合、8掛(1冊あたり2,640円)で納品します。


写真250点、原稿用紙換算1600枚超! 山口県周防大島の、本邦随一みかん農家兼業ひとり出版社の、998日にわたる営農と本づくり、子育ての記録。一見つまらない日々の記録と考察の集積から、今様の、島の生活誌、民俗誌を綴る。コロナ禍、変化を余儀なくされる島の暮し。僻地もまたグローバル化とは無縁ではない。
みかん生産は島の基幹産業なれど、深刻な気候変動、拡大の一途を辿るイノシシ被害、過疎化高齢化による担い手の先細りと耕作放棄地拡大、コスト高と重労働に見合わない低収入、等々、マイナス要素を挙げればキリがなく、前向きになれる要素など何一つとして無い。
5反(0.5ヘクタール)1年の稼ぎで子供を4年間東京の大学にやれた、1町(1ヘクタール)1年の稼ぎでみかん御殿が建った。よき時代の黄金伝説。今や見る影もない。著者の今のみかん稼ぎでは、子供を大学どころか高校にもやれん。それでも、先達の労苦と創意工夫の結晶たる畑を守り、みかんを育て、子供を育てる。極論すればこの島にはみかん以外に誇るものなどない、だからこそ、みかんを守らねば島は沈むと著者は言う。

【目次】
前書―みかんの島で想う
みかんの島を守る/大島みかんの現状と憂鬱/みかん作業の心映え/旅の始まり、外の広い世界への憧憬/旅をやめる/空家修繕、家庭菜園を復活させる/みかんを軸に島の生活誌を編む/気候変動の害、災害級の猛暑/豪雨災害と除草剤の害―農業は環境を守るのか?/農民こそ文化人―住井すゑの言葉を反芻する/みかん一つで、大島が、世界が視える/紙の本であらねばならぬ理由

 

日録本編(2017年9月7日~2020年5月31日)


補遺
島の記憶と記録
島の記憶と記録、そして旅人宮本常一のまなざし/見んさい。蜜柑が喜うぢょる―梶田富五郎の記憶と島の畑と/海の民の記憶/ソウルからピョンヤンまで―植民地の記憶1/移民が移民を呼ぶ―植民地の記憶2
世代を繋ぐ仕事
性根を入れる/都会を見限る/不要不急だからこそ/経験知と書物知/人の営みの背景を知る/社会の主流から外れるということ/知らなければいけない/地方で出版をするということ/編集者の職業倫理/形あるものとして残す/世代を繋ぐ
リアル書店と取次の役割――目先の利益や利便性より重いものは

資料編
安下庄 2000年平年値と2010年平年値の比較/安下庄の月ごと・年ごとの降水量・気温と階級別日数/温州みかん防除暦/空から見た安下庄、みかん産地の変化/索引

みずのわ出版 Tel/Fax 0820-77-1739
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地方・小出版流通センターJRC(人文・社会科学書流通センター)取扱

 

 

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まえがき 見本1

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まえがき 見本2

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本編 見本1

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本編 見本2

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本編 見本3

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本編 見本4

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資料編 見本(このあとの空撮写真掲載頁はサイトには掲載しません)

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索引 見本

 

みかん畑の草刈り。

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手前は草刈り済、奥がまだ。

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外来アサガオが巻き付く。

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草刈り完了。来週半ばに来るであろう梅雨の最後の雨に備えて敷草をする。

梅雨の間草を生やしていた早生と晩生合せて一列15本の山の段畑(3段あるうちの1段)。昨日2ヶ月ぶりの草刈り作業、午前半日かかる。クソ暑いが、太平洋高気圧の勢力下でないだけマシではある。
まだ梅雨が明けない。豪雨対策でもう暫く草を残しておきたいところだが、ぼちぼち草刈りに取り掛からねば、出来るところだけでも済ませておかなければ、梅雨明け後の猛暑のもとでは作業は進まない。

神戸の組長が7~8月の有給を使ってテゴに来るのは可能と言うてくれたのだが、この年寄の島にあって事実上のロックアウトは続けざるを得ない実情にあり、ご厚意は有難いのだがお断りする事態となる。外部からの人手に頼れないのは苦しい。このままいけば、島外からの人手の不可欠な収穫期は目も当てられぬ事態になる。
経営継続補助金の受給による機材の導入(草刈りマシーン、ハンマーナイフモアーによる草刈り労力の軽減)も考えたが、問い合わせたところ兼業農家は対象外ということで申請を断念する。何にせよ、ええようにならん。

生命の農――梁瀬義亮と複合汚染の時代

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次の新刊、7月末~8月5日頃出来予定。ご予約はメエルでお願いします。→ mizunowa★osk2.3web.ne.jp
送信時、★印にアットマーク@を入れてください。

版元直送は送料無料です。本が出来次第、郵便振替用紙同梱でお送りします。ゆうちょダイレクトもしくは銀行振込ご希望の方は、その旨お知らせくださいませ。

 


生命の農――梁瀬義亮と複合汚染の時代
林 真司 著
みずのわ出版 発行
10%税込定価2,200円
ISBN978-4-86426-045-9 C0036
四六判並製カバー装247頁
装幀 林 哲夫
カバー・表紙写真 柳原一徳
印刷 (株)山田写真製版所
製本 (株)渋谷文泉閣
プリンティングディレクション 黒田典孝((株)山田写真製版所)

序章 高度経済成長の光と影
第一章 仏縁
第二章 医師としての再出発
第三章 農業と化学物質
第四章 生命の農法
第五章 農薬による健康被害
第六章 複合汚染の時代
第七章 食品添加物に対する不安
第八章 行動する生活者たち
第九章 有機栽培の茶づくりに生きる
第十章 慈光会の設立
終章 念仏往生


生命の農法を通して描く昭和という複合汚染の時代、そして現在――

 レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で、DDTなど化学薬品による環境汚染を告発したのは、1961年のことである。しかしそれより2年遡る1959年に「農薬の害」を公式に発表し、人体に対する農薬の多大なる悪影響を世に問うたのが、奈良県五條市の開業医・梁瀬義亮(1920-1993)であった。発表当初は、周囲からの誹謗中傷に晒され続けた。しかし諄諄と「無農薬有機農法」の大切さを説く梁瀬の誠実な姿勢に、賛同の輪が各地に広がっていく。
 梁瀬は医師として、そして自ら有機農業を実践しながら、生命をないがしろにする社会の在り方に、敢然と異議申し立てを続けた。有吉佐和子は、そんな梁瀬の姿に強い感銘を受け、1970年代半ばベストセラーとなった小説『複合汚染』のなかで詳しく紹介し、最大級の賛辞を贈った。
 近年、日本における食の安全性は、高度経済成長期と比べて向上したかに見える。しかし、一皮むけば心許ない状況にあることに変わりはなく、農薬や化学肥料への依存はむしろ強まっている。食品添加物の使用も巧妙になった。だからこそ、小説『複合汚染』が広く支持された1970年代を、いま一度再検証する必要がある。
 過去を直視しなければ、未来を語ることができない。梁瀬義亮が警鐘を鳴らし、有吉佐和子が問題提起をした、昭和という「複合汚染」の時代とは、いったい何だったのか。梁瀬が生涯追い求めた「生命の農法」への軌跡を通して、その実像に迫る。


著者
林 真司(はやし・しんじ)
ノンフィクション作家。1962年大阪生まれ。龍谷大学大学院経済学研究科修士課程修了(民際学研究コース)。有機野菜などを扱う食料品店を経営後、1999年に同大学院に入り、「民際学」の提唱者中村尚司氏や田中宏氏に師事する。同時に、シマ豆腐の調査を開始し、その成果をまとめた『「沖縄シマ豆腐」物語』(潮出版社)で、2013年第1回「潮アジア・太平洋ノンフィクション賞」を受賞。食べ物を通して、人間の移動や交流について考察を続けている。


用紙・刷色
ジャケット 里紙 白 四六判Y目 130kg(4°)
表紙 ハーフエア ヘンプ 四六判Y目 180kg(K/1°)
見返 ハーフエア コルク 四六判Y目 110kg
本文 淡クリーム琥珀N 四六判Y目62kg