神戸→広島→神戸→東京→仙台→神戸。

mizunowa2007-10-29

【写真】
杜の都、仙台の西公園にある高さ約8メートルのこけし塔。裏ぷーさん撮影。吉田戦車の「伝染るんです。」に出てくる「こけし男」を思い出した。夜は不気味だらうな。


【22日】
午後から京都。「spin」のテコ入れ、「文字力100」「読む人」などの実売・在庫状況、年末以降の新刊企画等について、林哲夫画伯と詰める。少部数の出版なんてほんまに儲からん。数字に出すたび痛感する。


【23日】
広島日帰り出張。
フタバ図書TERA広島府中店を覗き民俗学の棚の担当さんに挨拶し、欠本を補充してもらう。それにしても、なかなか濃厚な棚である。欲しいものは多々あるのだが、如何せん持ち合わせが……。ここは1冊だけにしておこう。「方法としての東北」(赤坂憲雄著、柏書房)を購入。2940円也。
広島市内に戻り、比治山橋の日本発色(富士フイルム系列のプロラボ。関係者は日発=ニッパツと呼ぶ)で現像あがりのポジを受け取る。フィルム需要の落ち込みからプロラボの支店統廃合が進み、その所為で、出張ついでに撮影済フィルムを持ち歩いて現像に出さなアカン、ということが多くなった。日発も、大阪の営業所を閉鎖した。神戸ではクリエイトが支店を閉じたことでプロラボが無くなった。いくらデヂタルカメラが幅を利かせているからと云って、人口150万の政令指定都市でプロラボが一軒も無いとはどういうこっちゃ? それほどまでに、神戸では広告写真の需要が無いということか。

中国新聞社での打合せまで時間があるので八丁堀でチンチン電車を降り、本通り界隈の某地元書店を覗く。フタバ図書TERAとはまったく対照的な、ヤル気の欠片もない人文書の棚を眺めて脱力する。こぢんまりしているとはいえ、フロアが分かれているので総床面積では神戸の海文堂書店より広いはず。物量勝負の大型店みたくありとあらゆるものを並べることは不可能とはいえ、狭いなりに創意と工夫で魅力ある棚は作れるはずだし、いい店とはそういうものだと私個人は思う。いやー、つまらんモノを見てしまった。


【24日】
海文堂のFおか店長、平野さんと、毎度毎度の立ち呑み赤松で作戦会議。「本屋の眼」のテコ入れ、次の出版企画、そして12月8日のトークショー+宴会、について。


【25日】
28日に全日本大学女子対抗駅伝の撮影の仕事が入っており、それに備えて買い出しに出る。フィルムの値段も高くなった。そして、売り場は年々縮小されていく。フィルムがこの世から消滅したら、その時は、私はカメラマン廃業だな。


【26日】
お江戸行。午後、日本離島センターで「季刊 しま」のバックナンバーをコピーさせて戴く。来年から逐次刊行予定の「宮本常一離島論集」(全5巻予定、森本孝編、日本離島センターなど監修)のための仕込み、である。コピーをとりたい箇所はあらかじめわかっているので先方にお願いするという手もあるのだが、該当箇所の前後も含めて眺めてみたかったので、出張ついでに立ち寄った次第。何から何までそういうわけにはいかないが、自らの手で探してみることで初めてわかることもある。結論だけ云うと無駄が多いのだが、それをするのとしないのとでは、その仕事の厚みに決定的な差が生じる、と思う。


【27日】
台風接近の大雨のなか、裏ぷーさんと2人重たい機材と脚立を担ぎ、朝の新幹線で東京から仙台へ移動する。前日のうちに東京に入っておいて正解だった。カメラマンは人並み外れて心配性なのである。
翌日の全日本大学女子対抗駅伝のスタート時刻に合わせてロケハンに歩く。交通規制が入ることと地理勘の問題もあり、今回はクルマで動くという選択肢はない。でも、競技場のある宮城野原から市街地に向かうJR仙石線の本数は限られている。乗り継いだ地下鉄の駅から撮影地点の中継所まで距離がある。撮影場所の位置取りや光線の具合、そして2人別行動でどれだけ効率よく動けるか、事前にチェックしておく必要がある。当日の撮影そのものより、仕込みのほうが手間暇かかる。
競技場や中継所、ゴール(市役所前広場)の廻りでは、当日中継するテレビ局の人らが準備にあたっている。あれはADだらうねえ、当日の選手に見立てて大雨の中走らされている。気の毒にどんだけ走らされとんやろう、ふらふらでっせ。「いやー。ADにならんでよかった、僕やったら死んどるワ」。裏ぷーさんがぼそっと云った。


【28日】
とりあへず無事に撮影を済ませて仙台駅前のヨドバシで現像を仕上げてもらい、東北新幹線の車中でカットを選び、最終のぞみで新神戸に帰着。うまくいったところもありいかなかったところもあり。全体的にはまあまあの仕上がりでひと安心。しかしまあ、周到に準備しといても多少のアクシデントは起こるものだ。「カメラマンは結果が全てやからね、言い訳は無しだよーん」と裏ぷーさんが云う。ま、さういうことですな。