返品多し。

mizunowa2008-10-07

【写真】
嵩山(だけさん)。8月中旬、周防大島町平野の埋め立て地より


【返品多し】
一昨日、地方小から返品がきた。9号の段ボール筺(A5判の本が4面積める。ツカ12〜13ミリ程度の本なら60冊くらい入る)2つ。物理的にアリエナイことなんだが、出荷した分より戻ってくるほうが多いんちゃうか、と思えてくる。
年々返品が増えている。特に、新刊委託期間が終わって以降のまとまった返品が多い。その分月々の売上から差し引かれるので、月によっては下手すると売上マイナスになったりする。
書店への新刊見本配本分が殆ど売れていない。加えて、見込注文分が売れずに戻ってくる。そないに売れへんのやったら取次に流すだけ意味ないやんけ、と云われたりもする。そりゃそうだ。でも、取次に流すのをやめた日には、ただでさへ売れへんものがますます売れなくなってしまふ。書店さんで本が売れない。版元直売もふるわない。ほんま、八方塞がりやな。


【難儀やのう】
本が売れない話で、もうひとつ。
書肆アクセスの閉店について「[書評]のメルマガ」vol.325(2007年9月22日付)に書いたわての文章(http://www.mizunowa.com/column/shoshi.html)に対する批判が、三月書房さんのblogに掲載されていた。囲み箇所、引用。

みずのわ氏は自社の出版物はすばらしいのに、取次や書店がだめになったから売れなくなったと言いたいような感じです。本が売れなくなったのは、取次や書店のせいばかりでなく、出版社の責任も大きいと思うのですが、よほど自社の仕事に自信がおありなのでしょう。
http://3gatsu.seesaa.net/archives/200803-1.html

これって救いようのないクソリアリズムなんやけど、版元がええ本作ろうがクソ本作ろうが、何やったところで売れんものは売れんのですよね。ましてや地方版元の大多数が(もちろんウチも入ってまっせ)どっかんどっかん売れるやうな本なんてはじめっから作ってへんわけで、それを全国から掻き集めて取次に流して書店で売る、直営店(書肆アクセス)で売る、それで儲けを出すといふのだから、地方小自体タイヘンですわな。煎じ詰めれば、売れもせん本ばっかし作って地方小に押し付けとるワシら版元が一番悪い、といふことになりゃせんかいの。でも、ウチみたいな襤褸屋がベストセラーなんか出せるはずもないし、その必要もない。そこそこ売れてくれたらそれでええんやけどなあ、それすら届かん。難儀なことよ。

それと。
「自社の出版物はすばらしいのに(以下略)」と、三月書房さんは解釈されたやうである。私の文章力の無さ、これに尽きる。
私自身雑誌か何かで書いているのだが(すぐに見つからん……)、ぶっちゃけ、ウチも過去に(誰の目にも明らかな)失敗作を作っている。点数の多い大手版元やったら(こう云っちゃアレやけど)大して響かへんけど、零細にとってはその一点が命取りにもなる。いつだったか、旅行先の港の売店で地元版元の本を見つけ、たまたま下請の仕事で関わっていた分野だったのでろくすっぽ中身を見ずに買うて帰った。あとから精読してみて、編集のあまりの粗悪さにがっかりしたことがある。たった一点のクソ本と出会っただけでその版元に対するイメージが悪くなったのだから、そんなもんですわな。だから、せめてクソ本だけは作るまい、あからさまな失敗作だけは作るまいと、さう念じて事に仕えている。

蛇足ついでに。
私は版元のオッサンだから、本が売れなくなった責任の大半は版元にあると考えている。それも何処かに書いた。スクラップがすぐに出てこないのが困りもの。いずれまた、探し出して転載したい。