甘夏。

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甘夏。左は良玉、右は選外品。取得2年目の農地、前耕作者から引き継いだ6本にかいよう病が発生していた。おそらく1年2年で発生したものではなかろう、かなりの範囲に病斑が広がっていたため、昨年1年間の防除で完全に抑え込むことができず、今年の収穫では選外品が多発する結果となった(それでも防除の甲斐あって去年よりはるかにマシな仕上がりではある)。
甘夏にせよ八朔にせよイヨカンにせよ、都会のスーパーで買えば結構な値段とられるが、農協の生産者精算価格はナメとんか?と思えるほどに馬鹿安く、これでは農家の日当どころか肥料農薬燃料代も出ない。大島の言葉で「せぇがねえ」とは、このことを指して言う。
禄を失った旧萩藩士族の授産事業として夏みかん(くそがつくほど酸っぱい。今となっては希少品種)の栽培が導入されたのは、武士の農法よろしく手をかけなくても毎年実がなるという一面がある。とはいえ、糖が乗って酸味の効いた、味の濃厚な甘夏(品種名は川野夏橙。在来の夏みかんの枝変わり=突然変異=によるもの)は、言っちゃあ悪いが、武士の農法では作れない。きちんと作ったものとそうでないものとの違いは大きい。