わきまえ。

mizunowa2007-07-10

【写真】
博多祇園山笠の飾り山。7日夕刻博多駅前。長法被に博多織の帯、雪駄履きの“正装”で出歩くおっちゃんを町中で見かける。歴史ある都市は違う。それと比べると、神戸まつりなんてまったく祭りの体をなしていない。


【6〜9日】
6日晩、神戸六甲アイランド発フェリーせっつで7日朝新門司港着。小倉でふた仕事片付けて博多泊。8日午前6時出発、長崎、大刀洗、大牟田……じゃじゃ降りの中Mさんと2人資料返却の旅。福岡までクルマでの移動距離約500キロ。さすがに翌日はへろへろ。それでも、「宮本常一写真図録第1集 瀬戸内海の島と町――広島・周防・松山付近」(周防大島文化交流センター編著、森本孝監修、7月末出来予定)のビラ原稿を作り、印刷所に送る。少しずつでも手ぇ動かさな始まらん。


【10日】
雨が続くと腰が痛くて集中力が続かない。出張疲れもまだ残っている。……もう若くはない。
先月から松山・大島・広島1往復、東京・千葉2往復、福岡・長崎1往復。下請の仕事で動いた分には経費は出るのだが、建て替えて支払っている分もなんぼかあり、元々乏しい軍資金がますますしんどくなってきた。出歩く合間に行商もしているのだが……ちぃとでも売上があるだけマシだが、大して売れん。焼け石に水ってやっちゃな。


行商といえば、東京都府中市郷土の森博物館「宮本常一の足跡」展の一環で6月23日に開かれた講演会「風の人・地の人 宮本常一という世界」(講師=佐田尾信作)でも、ミュージアムショップへの委託分を会場で販売するということで、私が売り子をやってきた。売数は17冊(「宮本常一のまなざし」4冊、「宮本常一という世界」4冊、「宮本常一 旅の原景」1冊、「旅する巨人宮本常一 にっぽんの記憶」2冊、「沖家室 瀬戸内海の釣漁の島」6冊)。参加者150人でこの売上は寂しい。「宮本常一 旅の原景」が講演の主要なネタになったにもかかわらず、いちばん売れへんかったのは是如何に?

開会にあたって「宮本関連の本を出している版元」として挨拶しなはれと担当学芸員のSさんに云われたのだが、忙しいフリをして有耶無耶のうちに回避した。そこで宣伝をしとけば2、3冊くらいは上積みできたかもしれない……が、あの場で私がそれをやったのではシャレにならん。
Tさん、Mさん、Nさんら、長年宮本に携わってきた錚々たる面々が講演を聴きに来ている。諸先輩方をさしおいて、私ごとき単なる版元のオッサンが如何にも“宮本に取り組んでます”なんて分かったふうなことは口が裂けても云えん。しゃあしゃあと云えたら、それはよっぽどの大物かただの恥知らずだ(Sさんは好意から私に挨拶をすすめた次第で、私がそれを避けた理由については後日メエルで説明した)。

本屋はあくまで本屋。作家や思想家ではない。わきまえだけは見失ってはならぬと切に思う。