第1回宮本常一写真講座、のご案内。

mizunowa2007-10-13

周防大島町教育委員会との共催で、11月3日に東和総合センターで「宮本常一写真講座」を開催することになった。周防大島文化交流センターの活動の一環、「宮本学」の講座として来年度以降、年に2、3回程度開催したい、という線で話が進んでいる。「宮本常一写真図録」(周防大島文化交流センター編著)と同センターの企画展示をテクストに、「宮本の写真を読み解いていくための補助線を引く」という一点に絞って体系性を持たせていく。地味な内容且つ僻地での開催ゆえ参加人数はそう多くないかもしれないが、人数の多寡が問題ではない。確かに、広島や東京あたりで開催したほうが人は集められるのだが、そんな問題ではない。版元が本の販促のために書店さんや市民運動の協力を得てイベントを開催するのとは意味合いが違う。

宮本常一写真図録 第1集」の巻末に掲載した森本孝さん(元日本観光文化研究所あるくみるきく』編集長)執筆になる「周防大島文化交流センターの活動に寄せて」から、一部引用する。

 ところで、センターは宮本常一ファンの方々には「宮本常一資料館」と認識されているようである。センターは宮本家から寄贈を受けた故宮本常一の著書・蔵書、写真、遺品を保管し、宮本の撮影した写真で構成したパネルを展示している。ゆえに確かに宮本資料館である。しかし、国の重要民俗文化財指定を受けた農林業、漁業、諸職の民具類、町が輩出した長州大工の木造家屋用木組み模型、市民が独自にチームを作り、調査した長州大工研究成果など展示されているほか、図書館も同じ施設内に併設されている。単に「宮本常一資料館」としての機能を果たせばすむ施設ではない。
 またセンターは、文部科学省の博物館法による博物館でも資料館でもない。正確には農林水産省の「新山村振興農林漁業特対事業」資金により建設された施設で、「子供等自然環境知識習得」を事業目的とした「文化教育交流促進施設」である。つまりセンターは町内外の児童・生徒のための農林漁業関連の教育施設であり、都市と農漁村部の青少年の交流の場としての活用を図ることを事業目的に含む施設である。農林漁業についての知識が深く、農山漁村や離島振興の実践者であった宮本常一の蔵書や写真資料類をセンターが一括して収蔵保管していることから、それらの活用を視野に入れて、センターの事業が模索されねばならない。
 開館以来センターは年2回のペースで宮本常一の写真を構成した農山漁村の写真パネルの展示やその町内巡回展示等を行ってきた。また農林漁業体験のある町社会教育課職員による農業や漁業の生産技術や、専門家を招いての海洋環境調査、植物調査他の体験学習、他町村の資料館への宮本写真の貸出などの活動も行ってきた。その活動域はかなり広範にわたる。センターではこれらの活動を通して、直接、間接的に宮本民俗学や宮本資料に触れることで、宮本流の実学やその実践方法が自然と身につくのではないかと考えている。このため、センターでは市民に呼びかけて、「宮本のフィールドノート」の翻刻作業や著作の紹介作業に参加してもらうことも行ってきた。そして成果の一部は、『宮本常一 農漁村採訪録 長崎県対馬漁村・漁業調査ノート』が2巻、また市民による『宮本常一著作ブックガイド』として、2007年8月に刊行される予定である。
 これらに加え、生前の宮本常一が「郷土にいて郷土の歴史、文化を研究する」地元人材の育成を重要視していたことを踏まえ、センターでは地元の有志による調査・研究グループとの連携も心がけてきた。その一つとして長州大工調査研究グループがある。このグループは故郷を出自とした大工の技術や活動の歴史を学ぶべく、四国や大島郡内、山口県下で、宮本流の「あるくみるきく」を実践している。そして、地元の大島郡下に、多くの長州大工の活動の跡を発見するという成果をあげている。長州大工の活動範囲は広範にわたっており、その調査研究の完成はまだ道半ばとのことであるが、成果の一端はすでにセンターの展示パネルとして結実している。こうした故郷を調査研究する実践力と健全な志ある人材が育っていけば、町の未来も見えてくるはずである。

兎に角、所謂世間のブームに乗っかかっただけの、体系性とか脈絡とかいったものを持たない、行き当たりばったりとか有名人病とか権威主義とは一線を画す。そんな低級なものが世上を覆っているのもありゃりゃってなもんだが、こればかりはしゃーない。まあ、ぼちぼちと、やるべきことをやるしかない。


以下、詳細どすえー。

第1回 宮本常一写真講座
宮本常一の写真に見る瀬戸内海西部の島々の暮らし」


日本の隅々まで歩き、民衆の姿を伝えようとした民俗学者宮本常一。当センター作成のパネルを基にした『宮本常一写真図録第1集 瀬戸内海の島と町』を使い、宮本がどのような視点をもって民衆の姿を伝えようとしたのかを学ぶ講座を開催します。


開催日時   平成19年11月3日(土・祝) 午後2時〜4時
会  場   東和総合センターふるさと研修室 山口県大島郡周防大島町大字平野269-44
       (バス停周防平野下車・周防大島文化交流センター東隣)
募集人数   60名(先着順)
講  師   印南敏秀 (愛知大学教授)
       豊田渉  (松山市中島総合文化センター)
主  催   周防大島町教育委員会みずのわ出版宮本常一写真図録版元)共催
申込方法   周防大島文化交流センターへ電話・FAX・e‐mailにてお申し込みください。
       ■受付期間    平成19年10月22日〜10月31日
       ■電話・FAX番号  0820-78-2514(9:30〜18:00)
       ■mail-address syakai@town.suo-oshima.lg.jp
       ※毎週水曜日は休館のため電話での受付はできませんのでご了承ください。
参 加 費   1000円
持 参 品   筆記用具等・宮本常一写真図録第1集(テキストとして使用)
       ※写真図録をお持ちでない方は当日会場で販売いたしますのでご利用ください。(1890円)


お問い合わせ・参加申込は
周防大島文化交流センター 〒742-2512 山口県大島郡周防大島町大字平野417-11
℡&fax 0820-78-2514  mail:syakai@town.suo-oshima.lg.jp
9:30〜18:00(入館受付は17:30まで) 定休日:毎週水曜日(ただし祝日の場合は翌日)・年末年始