愚にも付かん。

mizunowa2007-11-18

【図版】
書肆アクセスでの最後の買い物。契約版元ゆえ神田村現金卸と同じ扱いで8掛+税、になる。


14日夕刻、八千代から赤坂の仕事先への移動途中で書肆アクセスに立ち寄る。閉店3日前。滅茶苦茶混んでいる。廃線間際の赤字ローカル線みたいだ。
――小沢一郎ぢゃないけど、川上しゃちょーの気が変わって「やめるのやーめた」なんてことにならんもんですかねぇ
――ははは。アリエナイですねー
てな具合で、店頭で谷根千バックナンバーのワゴンセールをやっている畠中さんと愚にも付かん話をする。
補充を止めた棚は隙間だらけで、それを埋めるために多くの書目が面出しになっている。この店で、これだけ面出しが並ぶのも最初で最後だ。「宮本常一写真図録」の横がスカスカになっていたので、「旅する巨人宮本常一 にっぽんの記憶」も面出しにしてやる。

いつもこれくらい賑わっとったら閉めずにすんだのにと、これまた愚にも付かん話。本屋にせよ版元にせよ、ツブさんためにはせっせと本を買うしかない。ええ本屋やったのに……なんてツブれた後でわかったげなこと云うたところで、それこそ愚にも付かん。


以下、書肆アクセス閉店についての拙文を読まれた某古本屋さんから戴いたメエル、である。

地方・小出版流通センターをはじめに知ったのは、たしか70年代、梅田の紀伊國屋の一部にその棚の設置されているのを見たときからですが、いまは大書店のなかに一部棚をつくるとか、小さなスペースをとって置かせてもらう、といったかたちでは、見通しとしてはまずダメだよ、っていうのはあなたのいうとおり、決定的な気がします。力を入れて売ろう、という努力を、その場ではまずできないのではないでしょうか。
支援の申し出、というのが目に付いたので思うんだけど、流通センター自体が、こういう状態に立ち至ってて、なんとか存続させたいが、意見聞かせてくれ、というふうに、仕入れ・得意先に説明会の形態でぶちまけておけば、試行錯誤のみちがあったのかな、とも思います。小出版社=仕入れ元、なのですから、契約条項として、アクセスでの販売が含まれていれば、その責もあったように思いました。
ですが、当初、あったはずの、小さな出版社の、目立たないが大切な出版物を流通させたい、という理念は、2行の返答というのを見る限り、死んだのかもしれない、というのが、今回読ませていただいての感想でした。どっちにしても、小出版の流通という指向自体には、おおきな利益は付きまとわないでしょう。その中でつくりあげたシステムを時代が押し流すにしても、死に方はやはりだいじですものね。

*「支援の申し出」……8月14日付当blog参照
*「2行の返答」……7月26日付当blog参照


以下、サイト更新が間に合わないので、とりあへずblogにてご案内。

トークショー「本と女の子の本音?」
本の世界を「女の子」のキーワードで変えた近代ナリコ神田神保町の良心・畠中理恵子が、読書、出版そして書肆アクセス閉店までを本音で語り合います!

[語り手]
畠中理恵子 1963年神奈川県生。94年より書肆アクセス店長。共著に『神保町「書肆アクセス」半畳日記』。
近代ナリコ 1970年神奈川県生。『modern juice』編集発行人。著書に『本と女の子』『インテリア・オブ・ミー』他。
進行=林哲夫

日時 2007年12月8日(土)午後3〜5時
場所 海文堂書店 2階 Sea Space
   〒650-0022 神戸市中央区元町3-5-10 Tel078-331-6501
入場料 500円